ブランディングには必ずコンセプトが必要です。
コンセプトの意味は物事の基本概念のことですが、商売で言うコンセプトとは、「誰が、誰に、何を、どのように伝えるか」を指します。
今あなたが持っている何らかの商品は、”あなた”に必要な情報が正しく伝わったため、あなたの手元にあるはずです。つまり、あなたにとってその商品を持つ価値(メリット)がコンセプトによって決められていたことになります。
商品やサービスに設定されたコンセプトは、USP(Unique Selling Proposition:商品やサービスが持つ他社とは違う強み)から作られ、企業自体に設定されたコンセプトは、経営理念や企業理念から作られます。
また、あなたにとっての価値とは、金銭や物理的なものばかりではなく、「みんなが使っているから安心して使える。」「誰も使っていないから特別感がある。」という精神的なものも含まれます。
コンセプトにおける「誰に」を設定することがターゲティングです。このターゲティングがズレてしまうと、商売は行えません。
たとえば、小学生に「マンガで分かる節税対策本の紹介」、高齢者に「次世代ゲーム機の紹介」をしても、その価値は伝わらないでしょう。
そこで、ターゲットにズレが生じないために、ペルソナ(買ってもらいたい人物像・会社の商品やサービスに対する理想の顧客像)を用いたターゲティングを行います。
世の中の人は、性別、年齢、職業、家族環境、生活環境、経済環境などの要素の組み合わせによって、細かく分類されます。
商品を提供した時に、どのような要素を持ち合わせた人であれば一番メリットがあり、喜んでもらえるかを追求した人物像がペルソナです。
そして、ブランディングとはこのペルソナに対して行われるものです。
これは簡単に言うと「ターゲット範囲を絞る」ということになります。
範囲を絞ることでロスの無い戦略を立てられ、効果を望むことが出来ます。
ターゲットの拡大をする前に範囲設定から行うことが重要です。
ブランディングにとって、もっとも重要なものはポジショニングです。
商品やサービスを、誰に、どの規模で提供するかによって、市場のポジショニングが変わります。そして、ポジショニングが変わることで、商圏も変わります。
たとえば、こだわりの水、土、肥料、環境を基に、日本一美味しい大根を年間50トン生産している農家があるとします。卸先は、その大根に価値を感じて、破格の1kg500円で購入してくれる近隣の有名料理屋数十店舗。
もしこの農家が、大根を全国の人に食べさせたいと思い、「売れるはずだ」と考え、売れるつもりで規模を拡大したらどうでしょうか?それには生産量を上げる投資が必要になり、生産量が上がれば1kg500円という値段もあり得ないでしょう。
今ここでターゲットの範囲を「有名料理屋数十店舗」にしていることでターゲット設定を行えています。
この農家は、生産量を上げてリスクを侵す必要はなく、日本一美味しい大根を作り続けるという価値を特定の料理屋に認めさせることで、商圏を絞った最適なポジショニングを行っています。
価値の創造は最も「ロングセラー」や「新発明」と呼ばれることが多いものです。
イノベーションや発明と言っても良いもので、世の中にこれまでなかった価値観を作り出すことで、ブランディングができあがります。
カップラーメンを作った人やエジソンなどはこの環境を作り上げた人だといえるでしょう
そしてその多くは、車、インターネット、電気、金融構造などのインフラになることが多いはずです。
イノベーションや発明ではないものの、その市場の未来を見据えて、先行者メリットを獲得するための価値観を作り出すことで、ブランドができあがります。
それは今後伸びていきそうな市場をいち早く認識し、そのジャンルでパイオニアになるということです。
近年で言うと、インターネット上で行われている新しいビジネスモデルがこれに該当します。
そして、最もブランディングという言葉でピンとくるパターンがこちらです。
近所で評判の美味しい肉屋と、精肉も取り扱う大規模商業施設は商売の規模が違いますが、どちらも精肉取扱店の1つに過ぎません。しかし、どちらも独自性を磨きたどり着いたポジションと言えます。
世の中のビジネスの99%以上が、誰もが行っている目新しくない商売において、独自のコンセプトを作り、明確なターゲティングを設定し、特定のポジショニングをすることで、ブランディングを行わなければいけません。